鳥居の色と形のヒミツ――朱・白・黒、そして神明鳥居と明神鳥居

朱色の明神鳥居が朝霧の中に立つ神社 ぶろぐ


鳥居とは何か――結界としての役割

日本国内には約 8 万 4 千社の神社があり、そのほぼすべてに鳥居が立っています。
政府統計の総合窓口
鳥居は俗世と神域を分ける門であり、初見は『皇大神宮儀式帳』(804 年)に「御門」の語で記されているそうです。
国立国会図書館


色で読む鳥居――朱・白・黒の三相

朱色――魔除けと防腐の合理

  • 水銀丹による朱は防腐・防虫に優れ、社寺建築の伝統色として古代から継承。color-science.jp
  • 太陽・血液を想起させ生命再生を象徴。平安末~中世に神仏習合が進むと各地へ広がったと考えられます。color-science.jp国立国会図書館

白木――清浄の原初形

  • 伊勢神宮や出雲大社の鳥居は無塗装の白木が基本で、「穢れなき色」として定着。国立国会図書館
  • 初期鳥居が白木中心だった点は、平安史料からも裏付けられます。

黒木――皮付き材の痕跡

  • 『万葉集』に「黒木もち」という語があり、樹皮を残した木材の地色が最古型とする説があります。
    国立国会図書館

形で見る鳥居――神明型と明神型

形式造形の特徴代表例象徴するもの
神明鳥居笠木・貫とも直線、貫は柱内伊勢・宇佐など原始・素朴
明神鳥居笠木が反り、島木を加える稲荷・八幡など全国装飾・守護
三柱鳥居三角形に三本脚京都・太秦ほか天地三界・宇宙観
放送大学文化科学研究

データポイント:全国調査では明神型が約 9 割を占め、神明型は 1 割未満。放送大学文化科学研究


色と形のクロスオーバー――祭神・地域とどう結びつくか

  • 朱×明神型:稲荷社に典型。豊穣神に相応しい生命色と装飾性が融合。
  • 白木×神明型:伊勢系・古社が保持。素朴さが天照大神の清浄観と合致。
  • 黒木×特殊形:山岳信仰系や古材保存の神社に残存し、原始的景観を保つ。

まとめ――鳥居にこめられた祈り

鳥居の色と形は、時代・地域・祭神によって意味が折り重なります。

朱を見れば魔除けと再生、白木を見れば清浄と原点――。

参拝の際には、ぜひ鳥居を見上げ、その背後にある歴史と祈りを感じてみてください。

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