はじめに
6月末頃から7月にかけて、全国の神社では「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」が執り行われます。
宮崎神社でも、7月末に夏越の大祓を斎行し、皆様の半年間の罪を祓い、残り半年の無病息災をお祈りいたします。
この時期に神社で授与される「茅の輪(ちのわ)」について、その由来や使い方をご紹介いたします。
茅の輪とは?疫病除けの霊験あらたかなお守り
茅の輪は、古くから疫病除けのお守りとして信仰されてきました。
その起源は、奈良時代に編纂された『備後国風土記』の逸文に記された「蘇民将来(そみんしょうらい)」の説話にあると云われています。
蘇民将来の物語

昔、北の海にお住まいになっていた武塔神(むたのかみ)が、南の海神の娘君のもとへ出かけられる途中、日が暮れて宿を探しておられました。
そこに兄弟がおり、兄の蘇民将来は大変貧しい暮らしをしていましたが、弟は裕福で立派な家に住んでいました。
武塔神が宿を借りたいとお申し出になると、裕福な弟は惜しんで断りましたが、貧しい兄・蘇民将来は快く家を提供し、粟飯や粟酒で精一杯のおもてなしをいたしました。
数年後、武塔神は八柱の子神とともに再びその地を訪れ、以前の恩に報いるため蘇民将来に
「茅で輪を作り、腰につけるがよい」と教えられました。
そして「我は速須佐之男神(はやすさのおのかみ)なり。後の世に疫病が流行した時は、
『われら蘇民将来の子孫なり』と名乗り、
「茅の輪を腰につけた者は災いを免れるであろう」とお告げになったのです。
平安時代から続く茅の輪の風習
この故事により、平安時代の頃には貴族の屋敷の門に茅の輪を掲げる風習が生まれと云われています。
現在でも多くの神社で、6月の夏越の大祓の際に茅の輪くぐりが行われ、参拝者の皆様が8の字を描くように3回くぐって無病息災を祈願されています。
茅の輪の使い方
1. 腰につけて身に着ける(本来の使い方)
『備後国風土記』の故事にあるように、茅の輪は本来腰につけて身に着けるものです。
神社で小さな茅の輪を授与いたしましたら、ぜひ腰につけてお持ちください。
「蘇民将来の子孫」を名乗ることで、疫病から身を守ってくださるかと存じます。
2. 玄関に掲げる
平安時代の風習にならい、ご自宅や会社の玄関に茅の輪を掲げることも良いでしょう。
家の入り口に掲げることで、疫病などの災いが家に入り込むことを防ぎ、家族や従業員の皆様をお守りくださるでしょう。

3. 神社での茅の輪くぐり
神社境内に設置された大きな茅の輪は、次の作法でくぐります:
- まず茅の輪の前で一礼
- 左足から茅の輪をくぐり、左回りに回る
- 茅の輪の前に戻り、今度は右足から右回りに回る
- 再び茅の輪の前に戻り、最後は左足から左回りに回る
- 最後に茅の輪の前で一礼
この時、「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶというなり」と和歌を唱えることもあります。
宮崎神社の夏越の大祓
宮崎神社では、7月末に夏越の大祓を執り行います。
この神事では、人形(ひとがた)に皆様の罪を移し、茅の輪くぐりとともに半年間の罪を祓い清めます。
おわりに
茅の輪は、1300年以上前から続く日本古来の疫病除けのお守りです。
現代においても、その霊験は変わることなく、私たちの健康と安全を守ってくださるでしょう。
ぜひ宮崎神社の夏越の大祓にお参りください。皆様の残り半年が、健やかで実り多きものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。
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